<< TOP  < BACK

絵本旅行社・旅プラン「たのしむ4」

「掛け軸」を選んだあなたには・・・ 『へそもち』

縦長のページを縦開きに展開していくという大胆な手法の絵本です。

赤羽末吉さんは「掛軸」をヒントに、この手法を思いつかれたのだそう。

同じサイズの横長の絵本とくらべると、

目の錯覚でしょうが、

縦長のほうが場面が広がって大きく感じます。

遠目のきく絵ですので、おはなし会にも向いています。

登場人物は、

おへそが大好物の「かみなり」と

おへそをとられて仕事にならない「村の衆」と

お寺の「おしょうさん」。

農作物に恵みの雨をあたえてくれる「かみなり」

でも「かみなり」のするいたずらのせいで、村の衆はこまっています。

「かみなり」にだって言い分があります。

その言い分が 実に納得できるもので、笑ってしまいます。

お互いに必要な存在であるのにうまくいかない状況。

さてどうしたものか......?

天上に住む「かみなり」と地上に住む「村の衆」

それをとりもってくれるのが 天とも地ともつながっている「おしょうさん」。

「おしょうさん」が出てきた時点で

あ、この人ならきっとなんとかしてくれると期待し、

期待どおりの展開になるので、

読んでいて気持ちがいいです。

読み終わった後のこどもたちも、とても満足した様子でした。

幼い頃、かみなりが鳴ると「おへそとられるよ〜」と母や祖母に言われ

こわがりやの私は かみなりの音がきこえなくなるまで

丸くなってタオルケットをかぶっていました。

おなかに響くかみなりの音と 息苦しく蒸し暑い空気は

しっかりと刻まれている こわいながらもたのしい記憶。

それはとても しあわせな記憶。

今度は母として、「おへそとられるよ〜」と脅かして

おはなしとともに、そんな季節のヒトコマも

手渡していきたいなぁと思います。

昔話の技法に基づいた完成度の高いおはなしに 

掛け軸のような風情のある絵。

「夕立」に夏を感じさせてくれる1冊です。ぜひ。


2003.8.10

『へそもち』
渡辺茂男(さく)/赤羽末吉(え)
1966年8月 1日発行/こどものとも125号
1980年7月31日発行/福音館書店
31p/サイズ22×27cm/こどものとも傑作集


    << TOP  < BACK