<< TOP  < BACK                          絵本旅行社・ご報告まで。絵本講座レポートNO.2

『きみなんか だいきらいさ』
ジャニス・メイ・ユードリー文/
センダック絵/こだまともこ訳
冨山房
こだまともこ 絵本講座
テーマ 「訳者からみた児童文学」
2001. 12月2日(日) 仙台市141ビル 5F セミナーホールにて
主催・宮城子どもの本を楽しむ会





センダックの絵本から 訳者としてスタートできたことは

とてもラッキーだったとおっしゃる こだまともこさん。

同人誌に創作を発表していたのがきっかけで 

絵本の翻訳の仕事を されるようになったそうです。

絵本からヤングアダルトまで

幅広いジャンルの本を 翻訳されています。

翻訳のこぼれ話や 作者とのエピソードなどをお話くださいました。



プロフィール

1942年生まれ。東京都出身。
早稲田大学文学部英文科 卒業。

1974年 センダックの絵本『うさぎさんてつだってほしいの』
(冨山房)で翻訳者デビュー

1977年 『3じのおちゃにきてください』(こどものとも253号/福音館)
で創作ものを発表。

1987年 アーノルド・ローベルの絵本、くまくんシリーズ
(文化出版局)を翻訳。
1995年〜メニムー一家の物語シリーズ(講談社)を翻訳。
2001年 『子どもの本の歴史』を翻訳。



白百合女子大学児童文化学科 講師。
東京都西東京市 在住。



         韓国版『まいごのまめのつる』を手に (2001.12.02)


● 翻訳者は地位が低い??●

こだまさんのお話によると

海外では、翻訳者の地位は低いのだそう......。

翻訳をやっているというと、「あ、そうなの」という感じらしいのですが

創作をやっているというと、「オー、ワンダホー!」 と拍手つきで ほめられるらしいです(笑)。





● 「I am ........」の訳し方は?●

英語では、一人称は[ I ]、二人称は[ You ] しかありませんが、

日本語には、たくさんあるとのこと!

(↑言われて初めて気づきました......)

お話のキャラクターの 性格から判断して、使い分けたりするのが

意外とむずかしい作業なのだとか。

思いつく一人称を 会場にいたみんなで考えました。


一人称
  I
わたし、あたし、あたい、ぼく、わし、オレ、せっしゃ
ウチ、わたくし、あたち、オイラ、わがはい、じぶん、
ちん、よ、ミー、おじいちゃん、おばあちゃん、おかあさん、
おとうさん、おにいちゃん、おねえちゃん、おじさん、おばさん、
せんせい、ママ、パパ・・・・・
二人称
 You
あなた、あんた、おまえ、きみ、きさま、てめえ、じぶん(大阪)・・・

あなたは、いくつ思いつきましたか?



こだまともこ作品
(作品紹介は、ほんの一部です)
エピソード
<翻訳・絵本>

『うさぎさん てつだってほしいの』

シャーロット・ゾロトウ文/
センダック絵/こだまともこ訳
1974 冨山房


 
『きみなんか だいきらいさ』

ジャニス・メイ・ユードリー文/
センダック絵/こだまともこ訳
1975 冨山房

何か訳したい本は?ときかれて、すぐにこの2冊をあげたのだそう。

自分自身が好きで、読み聞かせしていた本だったので 

翻訳時間は「たった5分」だったとか!

ふつうだったら、センダックの作品を新人にやらせてはくれない。

ラッキーなことに、担当者がセンダックを有名な作者だとしらずに、

OKがでて、翻訳することになったそうです(笑)。

実力だけでなく、運もあったのでしょうね.....。
<創作絵本>
『3じのおちゃにきてください』

こどものとも253号
1977 福音館書店
 最初に原稿を入れてから絵本になるまで、約3年かかっている作品。画家の なかのひろたかさんが

ものがたりのイメージにあう場所を さがしにいったりされたのだそう。こだまさんはこどものともに 

3つの作品を発表していますが いずれも創作。

「創作のおはなしは なかなかいいものができなくて.......。アイディアは思いつくのだけれど、構成力がないの
です」 などどおっしゃる こだまさん。でもでも、創作もの、私は好きです。なかでも、『3じのおちゃに

きてください』は 特に人気の高い1冊。復刊ドットコムでも、票があつまってきています。

復刊に投票してくださる方は コチラへ!
<創作絵本>

  『まいごのまめのつる』 

こだまともこ作/織茂恭子え
日本版は、こどものとも 318号
1982 福音館書店
今、韓国は児童出版ラッシュなのだそう!

1982年に こどものともで発行された作品、『まいごのまめのつる』が、出版されることになったそうです。

日本では、入手不可の韓国語版を、会場の人に、まわしてみせて下さいました。


物語を読む力とは?

『ロージーのおさんぽ』をつかって

 
ハッチンスのデビュー作、『ロージーのおさんぽ』を 実際に読んで
くださいました。

読者と作者の間に、「しあわせな連帯感」が生まれている。

文字として書いてある他に、別のストーリーがある。

おんどりは、何がおっこっているのかまったく知らない。

行間を読む絵本です、とおっしゃられ、ナルホドと思いました。

≪読書力は、星座に似ている≫

点々とした☆を見て さそり座と思いつくように、点々としたいろいろな

文章を結びつけて、おはなしをふくらませていくチカラ。

読書力はそんなチカラです。
この言葉がとても印象に残りました。

『ロージーのおさんぽ』
パット・ハッチンス作/
渡辺茂男・訳/1975 偕成社/
1968年作品
〈翻訳・児童文学〉

メニム一家の物語シリーズ@〜D

『ブロックルハースト・グローブの謎の屋敷』 1995
(ガーディアン児童文学賞を受賞

『荒野のコーマス屋敷』 1996
  『屋敷の中のとらわれびと』 1996
『北岸通りの骨董屋』
1997  


 『丘の上の牧師館』 1997

シルヴィア・ウォー作/こだまともこ訳
佐竹美保・絵/講談社

現在 入手不可

オックスフォードでおこなわれたシンポジウムで、児童文学研究家のマーガレット・ミークさんが、

ものがたりの一節を朗読してくださったのだそうです。

その後、こだまさんの元へ本が届き、この作品に夢中になってしまったのだそう。

こだまさんだけでなく、絵を描かれた 佐竹美保さんもメニムの虜になってしまったそうで、

メニム家の次女、アップルビーの等身大の人形までつくられたのだとか!

ベストセラーにはならなかったようなのですが、熱烈なファンが多いようです。

私も、このシリーズは大好き!とにかく設定がユニークで個性的なんです。等身大の布の人形たちに 突然

命がふきこまれて、人間とおなじようにに暮らしていく家族のお話。この本を読むと、人形は年をとらなくて

ウラヤマシイ!とは思えなくなります。生きていくってことは、それなりに悩みをかかえていくものなのですね。

派手さやスピード感はないのですが、とてもひかれてしまうお話です。
<翻訳・児童文学>

『レモネードを作ろう』


ヴァージニア・ユウワー・ウルフ作
こだまともこ訳
1999 徳間書店

訳すときに、ふたりのセリフを言葉遣いで 年齢差を出すようにした、とのこと。

17歳で母親のジョリーは、「〜だわ」「〜なのよ」と、女らしく訳した。主人公の14歳は、

「〜なんだよ」と男の子の口調で訳したとのこと。

≪「レモネードを作ろう」っていう一見奇妙なタイトルに込められた作者の思いは、ぜひ本文で読んで≫

と ひこ・田中さんもおっしゃってるので、是非読みたいと思います(笑)。

この続編で、「トゥルー・ビリーバー」という作品が発表され、全米児童賞を受賞した。

前作同様、こだまさんが翻訳する予定なのだが、ハリーポッター影響で、ファンタジー重視の出版となって

いるため、まだ出版は未定のようです。

『いつもお兄ちゃんがいた』

アラン・アルバーグ作
こだまともこ訳
2001 講談社

発売前の「柄見本」(中身は真っ白で、カバーのみの本)を回してみせてくださいました。

装丁やしおりにも かなりこだわった作品。お話のなかでおにいちゃんは、幽霊なので

表紙にはマットな紙質をえらび、帯をかけると、おにいちゃんと犬が透けるように トレシングペーパーを

使用。しおり用のヒモは、やわらかくやさしい感じのものを指定し、特注品!

「しおりに注目して!」と あとがきに書けばよかった......とおっしゃられていました(笑)。

原本は布製に金箔だったが、これは値段の関係で断念したとのこと。

翻訳者への道は?

こだまさんがおっしゃるには、翻訳者への道は、「3つ」あるそうです。

@翻訳のコンテスト・・・コンテストに優勝すると、チャンスはある。デビューのきっかけに。
A創作ものや詩などを書いていて、そこからデビュー。
B「リーダー」から翻訳者へ

「リーダー」というのは、原作本の下読みをするひとのこと。編集者がいそがしくて読めないので、リーダーが
代わりによみ、レポートを編集者に出す。そのレポートをもとに、編集会議が行われることが多いのだとか。
翻訳の世界では 裏方ですが、重要な役割なのですね。

<翻訳・一般書>

『子どもの本の歴史』

ピーター・ハント編
さくまゆみこ・福本友美子・こだまともこ訳
2001 柏書房

こだまさんは、サラリと紹介しただけですが、スゴイ本です。内容も、価格も、重さも、ズッシリ。

本のサイズとページ数とともに、重さは、ぜひ記載すべきだとおもいます(笑)。

帯にあるキャッチコピーを引用させていただくと、

『子どもと本に関心のある人すべてに、おすすめします』『なんたって イラストレーションです』。

オリジナルテキストは、英語で1995年にオックスフォード大学出版局から刊行されています。

かなり学術的な資料。イラストや写真もたくさんあるので、それだけを眺めるのもイイのでは?
こだまともこさんの
好きな作家
・ジャクソン・ウィルソンさん
           .......リアルなもの、現代のイギリスのこどもの日常を書いていらっしゃる方。(偕成社)

・アン・ファインさん......「ミセス・ダウト」の原作者。(評論社)

こだまともこさんの
好きなファンタジー

読むとハッとさせられる。
ハリーポッターは残らなくても
こちらの作品は、
22世紀まで残るでしょう


と おっしゃる2作品は コチラ →→→

『黄金の羅針盤』

フィリップ・プルマン作
大久保寛・訳(新潮社)1999
カーネギー賞 受賞作。

 『アンモナイトの谷』 

バーリー・ドハティ作
中川千尋・訳(新潮社)1997
残念ながら、現在入手不可のようです....。


●おまけ●

講演終了後、サイン会がありました。びっくりしたことに、こだまさんのお住まいと私の実家は ご近所さんだったんです!

「○○っていう建物わかります?ウチはあそこらへんなんですよ」と 気さくにはなしかけてくださったので、

おもわずローカルな話題で 盛り上がってしまいました(笑)。


復刊ドットコムで 『3じのおちゃにきてください』がリクエストされているのもご存知で、

「ときどきのぞいています」とおっしゃられていました。復刊されるといいなぁ。。。




★★★ 最後まで読んでいただきまして ありがとうございました ★★★

  

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