<< TOP  < BACK                                絵本旅行社・ありがとう・キネンビ・フクロウNo.13


フクロウの秘密


● チゼル ●

 


 
これは

誰にも言っちゃいけないよ。




チゼルは地図屋だって。



地図屋っていっても、

ただ地図を売っているんじゃない。

作っているんだ。



道がどんな風に続いているのかはもちろんだ。

どこに行けば、おいしい水がのめるのか、

どこに行けば、たらふくおいしい物にありつけるのか。

どこが一番景色がいいのか。

どこなら、ぐっすり眠ることができるのか。

そんなことまで、たくさん書き込んである。






この森には たくさんの動物が暮らしている。

食べるものも違えば、体の大きさも違う。

だから、チゼルはいつも

地図の依頼をしてきた動物に必要な地図を作る。

森の中からではかすんで見えない、

高い高いところにある事務所から、

毎日降りてきては リサーチを繰り返すのだ。



もしも、地図が必要な動物がしまりすだったなら、

チゼルならこんな地図を作るだろう。




「この道をまっすぐ行ったところに、

おいしい赤い実がたくさん落ちている。

だけど、気をつけて。ここはキツネの通り道。

ここの実ほどはたくさんでないけれど、

少し右に入ると胡桃がたくさん手に入る。」
       
「ここを掘って、暖かいベットを作るといい。

きっといい夢が見れるだろう。」

「秋。この枝からの眺めは最高だ。

金色に輝く葉っぱが風に舞う姿。一度はご覧。」




秋、

しまりすが、

家族を連れてある枝にならんで

ピクニックをしているのを見かけたら

それは、チゼルの地図のせいだとおもっていい。

キツネが、森でおなかをすかせてとぼとぼ歩いていたなら、

それも、

チゼルの地図のせいだろう。




だけど、

これはキツネにとっては一大事。

だから、

いつ、誰が、チゼルに地図作りを依頼したか、

これは誰にも言ってはならない、

トップシークレットなのだ。








新しい依頼だ。

今度は、いつもと違う。

「風の地図」だ。

チゼルは、考えた。

見えるものを地図にするのはできても、

見えない風をどうやって地図にしよう。




チゼルは、三日三晩眠らずに考えた。




スルスルスル。




森の中からではとても見えない高いところにある

チゼルの事務所から長い長いひもがおりてきた。

座るところもある。

これは、大きなブランコだ。



「これなら、かぜの通り道が分かるわい。

このブランコが動いた方向に

道が続いているということだ。」




こうして、大きなブランコに乗って

チゼルの風の地図作りは始まった。

     


  
「この木の間を通るときは、風が優しく吹く。」

「この小川の上は少し風のスピードが上がる。」

「ここには、大きなフェンスがある。

だから、この道は行き止まり。」




ようやく出来上がった、風の地図。

「いったい誰の依頼かって?

そいつはいえないな。




だけど、少しだけヒントをやろう。




『もっと、遠くまで行きたいと願う、

白い帽子をかぶって、

種を運ぶ春の旅行者。』






とだけ言っておこうか。」





                                
by inch




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