<< TOP  < BACK                                絵本旅行社・ありがとう・キネンビ・黒猫No.12


黒猫の秘密


● マタタビーノ ●




 

マタタビーノ氏は、

あちらこちらに家を持っております。



森のはずれのレンガ造りの、

小さな洋館の、屋根裏。



石畳の道が縦横に走る町の、長家の地下室。



丘の上の大木の、うろ。



なかでも、この、

大木のうろが、一番のお気に入りです。







実は、

マタタビーノ氏、

初恋の人が、いまだに忘れられないのです。

だから、

この大木の一番上に望遠鏡を持って上がり、

晩になると星占い。

(>イラストの本は、ふる〜い皮張りの表紙の、占星術の本です)

忘れられない人の平安を、星占いで祈りつつ、

眠りにつくのです。







そうそう。

名前は旅、

股旅……と、かけております。 

あははは、安易です。(笑)







マタタビーノ氏は、

1年のうち、

暖かい時期だけ、旅に出ます。

まぁ、

彼にとって旅とは生き甲斐。

行く先々で、手品を披露致します。



特に、

それまで悲し気だった人が、

自分の手品で、

笑顔になるのを目にするのがこの上ない幸せ。

 得意な手品は、

あちらこちらに星の花を咲かせること。

その花は、

「ふっ」と息を吹き掛けると、

「ぽお」と光り、

しばらくすると消えてしまうのですが、

息を吹き掛けた人にとって、

とても懐かしい香りを

かすかに感じさせてくれるのです……。







寒い時期になると、

やっぱり寒いのは苦手なので、旅はお休み。



冬場は星が綺麗なので、

夜はだいたい、うろにおります。



昼間は、

その年の旅の記録などを

静かな洋館の屋根裏で書き綴り、

時々気晴らしに、

ネズミ等を追い掛けに、

長家の地下室へと出向きます……。

 




                                   by chitose




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