黒猫の秘密 ![]() ● マタタビーノ ● |
マタタビーノ氏は、 あちらこちらに家を持っております。 森のはずれのレンガ造りの、 小さな洋館の、屋根裏。 石畳の道が縦横に走る町の、長家の地下室。 丘の上の大木の、うろ。 なかでも、この、 大木のうろが、一番のお気に入りです。 実は、 マタタビーノ氏、 初恋の人が、いまだに忘れられないのです。 だから、 この大木の一番上に望遠鏡を持って上がり、 晩になると星占い。 (>イラストの本は、ふる〜い皮張りの表紙の、占星術の本です) 忘れられない人の平安を、星占いで祈りつつ、 眠りにつくのです。 そうそう。 名前は旅、 股旅……と、かけております。 あははは、安易です。(笑) マタタビーノ氏は、 1年のうち、 暖かい時期だけ、旅に出ます。 まぁ、 彼にとって旅とは生き甲斐。 行く先々で、手品を披露致します。 特に、 それまで悲し気だった人が、 自分の手品で、 笑顔になるのを目にするのがこの上ない幸せ。 得意な手品は、 あちらこちらに星の花を咲かせること。 その花は、 「ふっ」と息を吹き掛けると、 「ぽお」と光り、 しばらくすると消えてしまうのですが、 息を吹き掛けた人にとって、 とても懐かしい香りを かすかに感じさせてくれるのです……。 寒い時期になると、 やっぱり寒いのは苦手なので、旅はお休み。 冬場は星が綺麗なので、 夜はだいたい、うろにおります。 昼間は、 その年の旅の記録などを 静かな洋館の屋根裏で書き綴り、 時々気晴らしに、 ネズミ等を追い掛けに、 長家の地下室へと出向きます……。 by chitose |
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